身すぎ世すぎ。

映画、演劇、HELLOが3本柱の雑感×考察

東京少女2008 十人四十色全視聴(BS-i)

  • 連休中いっぱい仕事したので、明けてしばらく時間がとれた。真野恵里菜に先立つ同シリーズ『東京少女』10人分のドラマ映像がひかりTVのTBSオンデマンドに落ちていた。これを全40話*1 まとめて一気に観ることにしようか。そんなことに時間を使うなら、クリント・イーストウッドの監督作品――地方のガラガラの映画館で人知れず興奮した『ガントレット』や、渋谷のいまは亡き名画座で涙にむせた『センチメンタル・アドベンチャー』その他取り混ぜて、若い順にDVDで追体験するほうがよほど実になるとためらったが、気安く観られるこっちを選んでしまった。『チェンジリング』や『グラントリノ』を観た後では、場末の匂いが似合う過去作といえど、もうイーストウッドものはなまじの態度じゃ観られないのが辛いところだ。
  • やっぱり今シリーズの『東京少女』はレベルが高いね。もちろん、どうしようもないのもなかにはある(3話のみ、耐えられずに途中早送りしちゃったのは内緒)けれど、脚本・撮影・演出こみで記憶のスミに留めておきたいと思える作品が40話中12話あった。3割の確率。これはいまの日本映画の、質的に底なしの状況を考えると高確率だ。底がぬけたといってもいまさらだが、日本映画は旨みがあると有象無象が思いはじめてから、プロデュース・レベルでプロの技とは思えぬひどい代物がとみに出まわるようになった。そういうのがネームバリューだけを頼りに粗悪商品として2次利用・3次利用を延命し、そして間違いなく数年で消えてゆく。その繰り返し。もちろん、日本にも世界と肩を並べうる監督はいまでもいて、彼(彼女)らは日本映画ブームの恩恵を受けたり受けなかったりしながら優れたスタッフとともに現在進行形でこつこつ映画づくりに取り組んでいる。観客としては、大宣伝からこぼれがちなその可能性を見のがさないよう、アンテナの感度を研ぎ澄ませている他ない。しかし、こうも2時間を徒労に感じることが多いと……。話が逸れた。未知の才能の芽吹きや、既知の才能の思いがけない茂りを見つけるには、いまや劇場映画より、眼力と統率力のあるプロデューサーの采配によるBS-iあたりのドラマのほうが有効かも、と言いたかったのです。
  • モデル体型の整いすぎた美人は、女優に必要な「破調の美」や生活の匂いを欠いていることも往々なのだが、岡本杏理はいいね。ちなみに、わたしの女優の好みをいうと、妙な色気と可笑しみのあるコケティッシュ・ビューティの日向千歩(滑舌悪すぎだけど)あたりに目がいく。けれど、郷里の徳島弁を生かした淡くほろ苦い「年の差」恋物語『東京的少女』(監督:保坂大輔)を例外として、日向千歩の回は残念ながら見どころが少なかった。怪盗ものまであるのに。岡本杏理に続くのは、水沢エレナ瓜生美咲桜庭ななみの回というところ。*6 2月に観ることができた真野恵里菜の回は、このグループに割りこんでくる出来だった。真野恵里菜の第2話『さよならお父さん』(監督:堀江慶) をAランクの基準とすると、そこに収まりそうなのが40話中、6話あった。全体的に低調だけど1話だけ突出している、という回もあった。その6話の作品を、次の更新時に概説します。需要無視の、自分メモ的な意味合いが強いけれど。

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*1:1ヶ月5枠分あるときは、2枠分で前後編完結のものが1話はいります。

*2:カッコ内は近作の代表的なものです。

*3:ユ・ソルアはまだオンデマンドに落ちていませんでした。

*4:録画機能が壊れたことをいいことに、地上波TVはニュース・ドキュメント系とスポーツ以外ほとんど観なくなりました。

*5:恋する日曜日』の劇場版が2作とも充実していた廣木隆一監督の第3話のみ、脚本のハズレくじを引いて割を食った格好。

*6:必ずしも演技力の上位組ではなく、あくまでわたしが見立てた作品本位の充実度による選択です。