身すぎ世すぎ。

映画、演劇、HELLOが3本柱の雑感×考察

2006-01-01から1年間の記事一覧

外堀を埋めるシリーズ 大団円

ミュージカルの“新大陸”へ。 名古屋を残すのみとなった『娘。ツアー 2006秋 踊れ!モーニングカレー』(わたしが観たのは武道館と千葉)は、メンバーがMCでさかんに使ったカレーの比喩でいくと、ぐつぐつ煮えたカレーの飛沫が飛んできて熱っ! 熱っ! って…

外堀を埋めるシリーズ 7c

超HAPPYな惜別の振付。〈断片的エピローグその3〉 『娘。LOVE IS ALIVE! 2002春』in SSA は、夏の嵐をまだ知らぬ娘たちが波打ち際の切っ先に立っているようなライブだったと思う。炎と拳が天を突く「そうだ!We're Alive」にはじまり、男役×女役のコール&…

外堀を埋めるシリーズ 7b

オーディションというドラマ。〈断片的エピローグその2〉 いくらでも取り替えできるその他大勢のちょい役とも思われがちなコーラス・ダンサーを、主役として前景に押し出してスポットを当てる。『コーラスライン』はそんな画期的ミュージカルだった。ひとり…

外堀を埋めるシリーズ 7a

月夜のコーラス隊。〈断片的エピローグその1〉 このふらつき気味の“外堀シリーズ”は「ザ☆ピース」から『リボンの騎士』を横目にみつつミュージカル・コメディ周辺を迂回して、再び初っぱなの「Mr.Moonlight」に戻ってこようとしている。しかし、まとめには…

覚え柿(2きれ目)

荒れ地を歩く小春ちゃんのフルサイズ正面、緑の丘を歩く亀井ちゃんのアップ正面から、カメラが右前方を牧場の柵ぞいに歩く美貴ちゃんのウエスト・ショットに切り替わるとき、背後で美しい栗毛の馬がちょうど彼女の歩みと直角に画面をすずしげに横切る。その…

1きれ目

歩いてる――思考に先行する歩行。まず歩みだすこと。〜だから歩くのではなく、ただ歩く。歩いてるさなかに考えること、願うこと。 人間(の生)についてのモデル3態。 海のモデル つかみ取る木切れもなく、たどり着く陸地もない海。漂泊。(タルコフスキー:…

外堀を埋めるシリーズ 6c

ミュージカルが“子供”だったころ。〈急〉 フランスのヌーヴェルヴァーグの連中がハリウッドのウェスタンやスクリューボール・コメディ、サスペンスやB級アクションといったジャンルから“映画作家”を発見し、そのすぐれた作家性を愛してやまなかったことはよ…

『白蛇伝』福田花音

昨夜は舞台上の福田花音のことを書こうとして手が先に進まず、断念してしまった。彼女が演じるシャオチンは、安倍なつみの白素貞=白娘(パイニャン)につかえる青ずくめの魚の精だ。パイニャンと島の青年との恋をとりもったり、妖魔の野望をくじいたりする…

『白蛇伝』初日

ル・テアトル銀座。ここは想い出の地だ。ホテルが建つ前はシネラマの大劇場だった。『屋根の上のバイオリン弾き』を観たときはテーマ曲の「サンライズ・サンセット」に差しかかったとき、館内のほうぼうでくぐもるような合唱が起こった。珍奇な体験だった。…

外堀を埋めるシリーズ 6b

ミュージカルが“子供”だったころ。〈破〉 ブロードウェイのミュージカル史を覗いてみると、第2次大戦の戦時体制下に開演した『オクラホマ!』*1という画期的作品をもって、ミュージカルは“ミュージカル・コメディ”から“ミュージカル・プレイ”に進化したとい…

外堀を埋めるシリーズ 6a

ミュージカルが“子供”だったころ。〈序〉 「でもぼくは馬鹿じゃない。記憶力だってものすごくいいんだ」。そう久住小春扮する大臣の息子は胸を張る。おもむろに歌いだす。大臣の息子が自慢するその「記憶力」ってなんだろう? 幼いころ、本棚に毎月増えてゆ…

小春日和の土曜日

徹夜明け、ぎりぎりまで仮眠をとって娘。コン 武道館の昼の回へ。インドやタイあたりを思わせるステージ・セットに、いきなり繰り出される「踊れ! モーニング・カレー」。まさに、マサラ・ミュージカル*1 のダイゴ味ですね。そこから「TOP!」をフィーチャ…

Mフェアの後藤真希

後藤真希と山口百恵はむかしよくつなげて語られた。ともに中学生でアイドルとしてデビューしながら“夜の領域”を豊麗に感じさせたからだろう。*1 たしか15歳の誕生日のときだったと思う、ごっちんはラジオでこうつぶやいた。もう人生の半分が過ぎた気がする、…

新星ブロガー

パソコンを開くとつい更新を確認したくなるハロプロ系のブログが最近ふたつできました。どっちも嫉妬したくなるような言語感覚の持ち主です。言葉にてらいや飾りがない。ひょいとハダカの心臓を差し出されるような感じ……。 ひとつは、みなさんご存じの《ブロ…

外堀を埋めるシリーズ 5

娘。“ミュージカル・ナンバー”の不朽の破壊力。 2〜3ヶ月に一度くらいのペースでリリースしてきた娘。シングルだが、2001年7月の「ザ☆ピース!」は前作の恋レボから7ヶ月以上経過している。まさに満を持しての登場。それだけに、待ち焦がれるファンのみ…

外堀を埋めるシリーズ 4

娘。から湧きでる“ミュージカル”に包まれて。 21世紀最初の春、中澤裕子卒業はいろんな娘。特番の果実を落としてくれた。その充実ぶりは他のメンバーの卒業・脱退を見まわしても空前絶後のものだった。フジの『中澤企画またの名を辻SP』、テレ朝の『春満開!…

外堀を埋めるシリーズ 3

すたれた遊園地のつむじ風。 いきなりミュージカルの聖地・日生劇場での公演となった『LOVEセンチュリー』は、いろんな事情を抱えた娘たちが「約束の場所」でもう一度自分たちの気持ちを確かめ合い、さまざまな現実と衝突しながら夢を追う、という『I WISH』…

外堀を埋めるシリーズ 2

ミュージカルが娘。とともに始動するとき。 吉澤ひとみを「男性キャラ」としてセンターに大抜擢した「Mr.Moonlight」は、ネオスウィングを下敷きに宝塚風きらびやかさを思い切りねらった楽曲だったし、夏まゆみもあれは「宝塚のダンス舞台を意識して振り付け…

外堀を埋めるシリーズ 1

娘。と宝塚のファースト・コンタクト 3年半前、モーニング娘。と宝塚は最初の遭遇を果たす。しかし、TVのエンターテインメントのトップと大舞台のエンターテインメントのトップの競演という鳴り物入りの目玉企画であったにもかかわらず、だれもがそれを忘…

雑記 2

わたしにとってハロプロ系のラジオといえば、むかし『Oh-so-ro』、いま『ちゃんチャミ』。そのちゃんチャミがあと1回で終了するという。「毎日が初日のように新鮮な気持ち」「もう楽しくて仕方がない」と梨華ちゃんがリアルタイムでうわずり加減に語り続け…

雑記

いつになく高橋愛熱が高まってる。でもヤンタンのレギュラーに戻っても、私の本来の居場所じゃない、と思いはじめてはいないかと胸騒ぎがしてしまう。第2の本田美奈子として『レ・ミゼラブル』のヒロインに、とはよく言われることだが、高橋には踊れる強み…

スポニチ評の彼方に

こうなるまでは……言えないことばかり。 たぶんスルーすることが大人の態度だとはわかっています。でも、某検索サイトのトップにみつけたスポニチ評の誰それに「噛みついてみる」という一文を真夜中にたまたま読んでしまい、噛みつくはずが、アイドルにしては…

『コトブキ珈琲』 小ネタ集

かつての自主映画の監督、現在失業中という役どころの中神一保が、『タクシードライバー』のポスターに向かい、武装したデ・ニーロが鏡に向かって毒づく同映画の有名シーンの形態模写をするところがありました。芸が細かいなと思いましたが、これが全然受け…

『コトブキ珈琲』 アヤカ&ロビン

少女が珈琲の味を覚えるとき。 夕方、新橋での仕事が早めに終わった。ならばと銀座線と井の頭線を乗り継ぎ、下北沢に向かった。今日を逃すともう観る機会を失うからだ。アヤカとエッグのストューカス ロビン 翔子が客演している「大人の麦茶」の『コトブキ珈…

新生『スケバン刑事』補遺

『17才』『空中庭園』の“想い出”に向けて。 『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』って、なにげに俊才ぞろいのスタッフなんですよ。製作の黒沢満は、松田優作の代表作『最も危険な遊戯』『それから』をはじめ、かつて一世を風靡した東映Vシネマの観るべ…

新生『スケバン刑事』感想

『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』をひとあし早く観てきました。以下はその感想ですが、「ぜったい映画館に行く」とすでに決めていて、いまから楽しみにしている方は読まないほうがいいと思います。観に行くかどうするか迷っている方は、判断材料のひ…

トライアングルとシンメトリー Ⅱ

「愛する愛」に殉じたサファイアは、ヘケートに魂(命)を返してもらう。悪魔(魔女)に魂を売っても悔いなどなかった大臣は、サファイアに旅立つための命を返してもらう。*1 地上の愛の要諦に気づいた魔女ヘケートは、すべてを見ていた神様から「人間の魂」…

家臣ナイロン/小川麻琴

私は良い人すぎる。秘密を守るのに慣れてない。 大臣の息子と戯れ、はしゃぐ姿や、中世という時代背景から家臣ナイロンは“子供”だとする考察が《こちらのサイト》にあって、それはとても説得力がある。息子よりちょっと年上の子供。もちろん、血が繋がってる…

トライアングルとシンメトリー Ⅰ

右の図は『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』のキャラクター関係図の概略的試みです。ほんとは愛憎や行為の方向性を“→”で示してゆくのがいいのでしょうが、わたしは、あいにく幼稚園レベルのパソコン作図技術しか持ち合わせていません。それとは別に“→”マーク…

千秋楽・昼公演 雑感

楽におなり 羽のように軽く 砂のように白く。 『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』劇中クライマックス前、大臣を急襲するサファイアに小春ちゃんの息子が止めにはいるところで、女装衣装がはぎ取れず、白い帷子一枚の芝居にスムーズに移れないハプニングがあ…