身すぎ世すぎ。

映画、演劇、HELLOが3本柱の雑感×考察

『コトブキ珈琲』 小ネタ集

  • かつての自主映画の監督、現在失業中という役どころの中神一保が、『タクシードライバー』のポスターに向かい、武装したデ・ニーロが鏡に向かって毒づく同映画の有名シーンの形態模写をするところがありました。芸が細かいなと思いましたが、これが全然受けませんでした。いまの観客は、もう『タクシードライバー』など観ていないのか。若きデ・ニーロのヤバい魅力も、いまのロビンと同年齢(13歳)で当時の天才少女ジョディ・フォスターが演じたストリート・ガールのヤバい魅力も知らないのかな、とちょっと残念な気がしました。
  • 大人の麦茶の役者さんのなかでは、脇を演じた眞賀里知乃って人が気に入りました。大手映画会社“アップフロンテ”に勤める披露宴の幹事役。仲間の結婚祝いのコトブキビデオに執念をいだく連中に、ひとりよがりの映画はゴメン、なるべく短めに、なんてクギを刺すヤナ女ですが、その言いぐさがいちいちもっともでもあって。短篇づくりに冷ややかな視線を送りながら、アイデアを求められるとつい乗り気になる憎めなさを好演していました。こういう抑制を効かせた演技がわたしは好き。
  • 大人の麦茶の役者のひとり、池田稔さんの同公式掲示板の書き込み。こういう意識の役者さんと共演できるのは幸せですね。
  ロビンさんや田岡さん、アヤカさん。年代も経験も違う人達との共同作業
  が今は楽しくてしかたありません。自分よりピュアで、力強い表現の前で
  は小細工は通用しないので自分も本当に誠実に対応しないと一瞬で見すか
  される、そんな恐怖心と戦いながら日々過ごしています。最高に贅沢です。

ちなみに、「田岡さん」というのはロビン演じるマッコの同級生
役、田岡由衣のことです。彼女もよかった。キスのシーンに、
うちらはもう寝る時間? とか問いかけ、別に見てもいいじゃな
いの、と返されて、両手で目を覆ったその指の隙間から見る仕草
をするカマトト風の芝居とか。

  • 観劇を終えてロビーに出ると、着替えを済ませたアヤカさんがちょうどこちらにやってきました。意を決してひとこと感想とお礼を言おうとするも、知り合いらしいおじさんに先に声をかけられちゃう。行き場を失い人の空いているほうに踏み出すと、大人に混じって小さな女の子が「プログラムはいかがですか?」と呼びかけてきました。1冊くださ〜い、と千円札を差し出したら、小さな手に握ったお釣りをおずおずとくれました。その子供っぽい仕草が心に残って、思わずエッグ・サイトをいろいろ調べてしまいましたよ。あれは、ロビンの友達の福田花音(かのん)ちゃんじゃないかなぁ。
  • それにしても、エッグは案外恵まれているのかも。いきなりグループに入って多忙のなかに何もわからないまま放り込まれるよりもね(もちろん、そういうゼロからの過程を野ざらしに生きる極限的緊張感のよさもあるのですが)。じっくり基礎練だってできるでしょう。チャンスがあれば、今回みたいな生きのいい外部のお仕事にも集中的に取り組めるんだし。

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