身すぎ世すぎ。

映画、演劇、HELLOが3本柱の雑感×考察

℃-ute CUTIE CIRCUIT 2008の愉楽

  • のどかな春の日なかのライブ。外出ついでに昨日フラゲしたこのDVD、出色の出来ですね。太陽は下手ナナメからうららかに℃-uteの7人の頬を射して足もとに小さな影をつくる。7人がステップを踏めば、7つの影も踊る。アプロディテの娘たちがなだらかに連なりつつ波間からせり上がってくるような、みずみずしい肌の光沢! どんな巧緻を尽くした照明効果もかなわない、野外音楽堂ならではの自然光の狡智といえましょう。さらには、穏やかな風がステージを横切って前髪やポニーテイルの尾をなびかせ、桜の花びらが周囲から舞い飛んできたりするのですから、おそらく現場では、燦然たる花園に日がな憩うふうではなかったでしょうか。そういえば、よみうりランドのEASTはなっちのソロ・イベント以来行っていません。ひところ毎年やってたジャズ・フェスでは、ガールフレンドと猫をお供のノロノロ歩きが、マイルス・デイヴィスのトランペットのくぐもるようなミュート・プレイが彼方の高台から聞こえてきたとたん、早足になったりしたよなぁ。
  • 特典映像の「ライブ直後の大反省会」もまことに気がきいています。これ基本はコメンタリーだからワンステージ分の尺があるんですが、℃-uteの7人ができたてほやほやのステージ映像を観ながら、それぞれが自由に感想を述べあう――肩を並べてリラックスしたそのおしゃべりの光景を、3台のカメラをスイッチしてみせてゆくというシンプルな新趣向。ステージ映像は右下の小窓に収めて、けんけんがくがく、和気あいあい、楽屋トーク風味な軽口に笑いさざめく7人の表情や関係性をメインの映像にしてるんですね。ライブを終えたばかりの高揚感を残したままなので、やじうめ、なっきー、ちっさーはもちろん、愛理も栞菜も舞ちゃんも、みんな満遍なくよく笑い、よくしゃべる。チャプターがないのが難点ではありますが。
  • 『シンデレラ・ザ・ミュージカル』の作曲・作詞コンビ、ロジャース&ハマースタインには「マイ・フェイバリット・シングズ」という名曲がありますが*1、私はここのフリが好き、私はここの歌詞が好き、私はここのトーク、ここのメロディ、ここのハモリ、 と7人が口々に「私の好きなもの」を具体的に指ししめしあう感じなんてとても素晴らしい。みんなが細部に小さな、でも大切なこだわりをもっていて、それらが積み上がって℃-uteのステージの愉しさがかたちづくられているんだな、いいグループだなぁ、ってうれしくなります。レコード大賞・最優秀新人賞受賞のときはホントはもう1回歌えたはずなのに(年齢のカセで)私たち歌えなかったから、その代わりのつもりで歌ったの。あのときと同じ衣装による「都会っ娘純情」のパフォーマンスについての、中島早貴ちゃんのそんな感懐とか、舞美ちゃんは冗談も真剣よねぇ、とみんなで矢島リーダーの真っ直ぐな性格をからかうくだりとか、もわたしは好きっ!

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*1:ちなみに、『ハロモニ@でアテレコ娘・小春が娘。ライブにアテた「ドレミの歌」も、ロジャース&ハマースタインの作曲・作詞です。