身すぎ世すぎ。

映画、演劇、HELLOが3本柱の雑感×考察

チェイサー vs チョコレート・ファイター

または、チェイサー岡井千聖 vs ファイター矢島舞美

  • 和田彩花のブログ「あや著」がはじまった。福田花音がつけたニックネーム「あやちょ」に引っかけて、彩花ちゃん本人が頭をしぼって考えたらしい。頓智が効いててセンスいいね。そのブログのネタが、タンポポの「王子様と雪の夜」のスカートみたいな、小さな釣り鐘みたいなかたちの白い花を写真に撮っていて、これはドウダンツツジだろうか、昨日の撮影時の花音ちゃんの髪型にそっくり! って報告なのだが、いったい花音ちゃんはどんな奇抜な髪型にチャレンジしてるのやら。このブログにさっそく「かのんのツブログ」が、新たなライバル出現への目配せ、というかエールを送っている。いつの間にか新曲のレコーディング風景まで公開(FC限定なのが残念だが)されているメジャーデビュー仮選抜4人組は、「ゆうか放送局」で2ショットプリクラをゆうかりんが連発している前田憂佳和田彩花コンビと、地元も同じ大親友ヘンリカズの福田花音小川紗季に二極化するのかと思いきや、うまい具合に混ざり合ってきた。この4人に関根梓古峰桃香を加えてのバックダンサーをしたがえた、真野恵里菜のGW限定「はじめての経験」前座パフォーマンスもとっても楽しみ。
  • わたしが行く予定なのは、期待つのる℃-ute中野コンの追加公演なのだが、その前に矢島舞美のDVD『17's』が届いた。この手のイメージDVDを買うのは5年ぶりくらいか。といっても、いちばんのお目当てはスポーツ・テストで、さて、ハロプロが誇る高速ランナーたちをまだ無名時代に薙ぎはらったあの颯爽のカモシカ矢島舞美がグアムでどんな記録を打ちたててくれるのか――そういうワクワク感は実のところ、ことごとく失速する。その代わり、スポーツ少女現役時代もいまは昔の舞美ちゃんのヘタレぶりに乗じ、副音声の岡井千聖の毒舌が加速の一途をたどる。これがめっぽう面白い。挑戦者有利に進行しながらキング矢島舞美を前に、最後のアームレスリングで一敗地にまみれた岡井ちゃん。その『よろセン!』の無念を晴らすべく、第2ラウンドの前哨戦がすでにはじまっているみたい。
  • 約束の収録時間に遅れてきたにもかかわらず、岡井千聖は開口いちばん、反復横跳び49回/20秒の記録に「おそくなぁい?」とまず陽気ないちゃもんをつけ、「おそいのはちっさー!」という矢島舞美の抗議にもめげず「足が長いのにもったいなぁい」と攻撃の手をゆるめない。自由形から背泳ぎまで嗣永桃子の50メートル・メドレー(?)の記録を破る目的の特別競技では、スイマー矢島のクロールののろくささ、あまりの進まなさ加減に自分でもびっくりして立ち上がっちゃう様子、溺れかけた仔馬みたいに泳ぎ疲れてプールサイドで苦しがる姿、果ては前髪が濡れてペタンとなってるところまで、そのぶざまさを情け容赦なく笑いのめす。グアムでの悔しさがトラウマ化してるのか、最近プールの夢ばかり見ると舞美ちゃんは言うのに……。
  • もちろん、岡井ちゃんに悪意があるわけじゃない。舞美はタイムではあたしに勝ったけどバタフライやってないし泳ぎに対して愛がないとか、可愛くも小憎らしくもある負け惜しみのコメントをする桃子ちゃんには、「そんなのぜーんぶ言いわけ、舞美ちゃんの勝ち!」ってリーダーをちゃんと立ててもみせるのだ。まぁ、持ち上げておいて本命の陸上競技でまた急所をつく、これも岡井ちゃんの、宿命のライバルへのしたたかな戦術ともいえる。その緩衝材として、相方の萩原舞ちゃんがしっかり大人の役目を果たしていた。そんなこんなで、結果として水泳、それから陸上1000メートル走と50メートル走のガチンコ勝負の約束が矢島舞美岡井千聖の間で交わされた。℃-uteのみんなでやりたいという別案もふくめて。はたして、競泳までを加えたそんな夢のバトル・ファイトを事務所はいつか実現してくれるだろうか。
  • GW映画のことを再び。田中れいながラジオで5つ星をあげていた映画『レッドクリフ Part2』をわたしも好きで、いろいろ人間関係をはしょりすぎの問題はあっても、あれはジョン・ウーのバトル・アクションの「夢の具現」ですからね。お馴染みの真っ白な伝書バトが水先案内してくれる男装の令嬢・尚香(ヴィッキー・チャオ)のスパイ活動は敵の田舎兵士との淡いロマンスをはらんでツカミは万端。周瑜の奥方・小喬(リン・チーリン)が自分を争いの火種であり火消しのカギとも見定めて、わが身を敵に差しだそうとひそかに決意し、宴の席から障子の影に身を隠すさまを引きでとらえたショットなどもゾクッとなりました。れいなちゃんが言ってた金城武孔明が風を読むシーンもそうだけど、こういう嵐の前の静けさのムード醸成が大切です。「女」と「風」がそよと向きを変えると、映画監督ジョン・ウーの「夢」は七色の炎に染まり、無数の矢のごとくスクリーンに逆巻くのです。
  • けれど、『レッドクリフ Part2』はもうほうっておいても、みなさん映画館に押しかけてくれるでしょう。『グラン・トリノ』に続いてわたしが推したいのは、5/1に初日を迎えたばかりの『チェイサー』です。これは一言でいうと、シリアルキラーものだから、血塗られた描写が苦手なひとには勧めづらいけれど、フィンチャーの『セブン』なんかにもタメを張れる逸品だと思います。同じ韓国映画なら数年前の秀作『殺人の追憶』にも比肩しうる出来。ただ、いわゆるスター映画じゃないので、韓流ファンにも届きにくい。でも、埋もれさせておくのは惜しい映画です。あっさり犯人はつかまり自供までするのに、証拠不十分で釈放の身に、しかも犯人だけが知る囚われの女が、という物語展開に定石を外した大胆さがあります。カーアクションも銃撃戦もない素足と素手のバトル演出に息づかいがあり、画づくりもうまい。監督は新人なんだけど、大物感が漂います。囚われた女はシングルマザーで、彼女の幼く勝ち気な娘のまなざしが効いています。
  • アジア映画でいうと、GW後、5月23日公開の『チョコレート・ファイター』も無視できません。お話のくだらなさはともかく、高架橋とビルの壁をはさんだ隘路を生かして縦横に繰り広げられるクライマックスの肉体アクションは超必見。これはVFX万能の世への反旗ののろしですね。ひとが必死で宙づりになり、痛っ!って思わず声が出る生々しさで落下する。オーディションの機会に18歳にして監督に見出され、テコンドーとカンフーをベースに4年をかけてアクション女優に鍛え上げられた、この“ジージャー”という少女の面影をもつタイの新人スターには、ブルース・リーリー・リンチェイ以来といってもいい本物の驚きがあります。ファイターまいみーの背中を追うチョコレート・チェイサー、ちっさーに観せてあげたい。

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