身すぎ世すぎ。

映画、演劇、HELLOが3本柱の雑感×考察

ハロプロ研修生 6月の生タマゴShow!

  • 先週は『ステーシーズ』余波で仕事に追い詰められても、頭のなかは14歳から16歳の少女ゾンビたちが妖しくうごめいて困った。完全に深みにはまった。まだ抜けられずにいるが、まずは昨日(17日)日曜日に代々木の山野ホールで観たハロプロ研修生の発表会について、ごくいい加減な覚書を残しておきたい。研修生ライブの面白さは、ほんの3カ月前バックに控えていたり不在だったりした子がセンターめがけて押し寄せる反攻のビッグウェーブにある。今回、とくにその醍醐味が満載だった。楽しすぎる。
  • まず、前回の発表会でリハ時に努力賞らしきものを振付の先生からいっぱいもらいながら、直前のインフルエンザ・リタイアとなった田辺奈菜美。1曲目「グルグルJUMP!」2曲目「彼と一緒にお店がしたい」からいきなりのどセンターで驚いた。思えば、エッグ時代はステージ上でやらされてる感が否めなかった所在なさげなあの子が、いつの間にかすらりと足の伸びたショウガール的なプロポーションを生かしてパフォーマンスの求心力になっている。ステージ上でひときわでっかく映えている。しかも、けっこう歌えてる。人気に実力が追いついてきた。今後が楽しみ。
  • 今回、初披露組のひとり小田さくらも前回のインフルエンザ無念のリタイア組で、新入りとしては異例ともいえる抜擢を受け、歌もダンスもまだ土くさいまま非凡なところをみせた。大塚愛菜とのデュエット曲「グランドでも廊下でも目立つ君」は、とくに夜公演の出来がよかった。彼女のキャラクターはいかにもつんくP好みで、去年のスマイレージ・オーディションでもそれは際立っていた。今回のトーク・コーナーでは、「飛ぶ」シリーズの夢をよく見るという話でまことさんからそれは研修生としてこれから飛び立ちたいという意味があるのかもと突っ込まれ、そんな安易なたとえ話より低空飛行で飛ぶ瞬間の気持ちよさこそが忘れられないんです、ってニュアンスで頑固に応じていて笑わせてくれた。どんなふうに成長してくれるか。研修生のダークホース、というか暴れ馬になるかも。そんな安易な比喩も笑い飛ばされそう。
  • 大塚愛菜は、声の響きのなかで聞くほうの心を遊ばせてくれる。今回の彼女のベスト・パフォーマンスは「まっさらブルージンズ」の矢島舞美パートじゃないだろうか。ちょっとおばさん顔の子供という感じが消え、ますます美形になっていた。しかも、いまの研修生中、ステージ上でもっとも色気を放っている。映画女優には、悪女的な異端美女で肉感性のあるヴァンプの系譜と、正統美女で痩身・小悪魔性のあるファム・ファタールの系譜がある。正統美女で肉感性のある譜久村聖の無意識の色気と痩身・小悪魔的でなおかつ異端の匂いがする大塚愛菜の無意識の色気は、その映画的系譜とたすき掛けの関係にあるように思う。大塚さんは娘。9期ファイナリストだが、11期『すっぴん歌姫』オーディションにぜひ再挑戦してほしい。田中れいな鞘師里保とのステージ上の相性をみてみたい。
  • 高木紗友希は、歌にお腹の底から出てくるような力感がある。歌の表現にも力強さが増した。金子りえ田辺奈菜美と組んだ「あなたなしでは生きていけない」も、ラス前の全体曲「かっちょいい歌」も紗友希というリードヴォーカル的な表現の芯があることで、歌の世界に身を投じたくなるような妙な説得力が生まれる。さゆべぇのでこ出しルック、好きです。昭和初期の娘っぽい張りを感じる。
  • 宮本佳林をあえてワントップに固定しない、特別扱いせずに後続組とダイナミックに撹拌するというライブの方向性が、かえって宮本佳林が特別枠であることを証し立ているように思う。たとえ隅っこにいても、彼女の歌とダンスは際立っている。しかも、以前の元気ピカッピカッなパフォーマンスではなく、表現に緻密さや繊細さが加わってきた。今回は、とりわけ歌にそれを感じた。今公演のベスト・パフォーマンス曲として、宮本佳林小田さくら小数賀芙由香の従者を従え、未知の恋路をリードした感のラブソング「大きい瞳」を挙げたい。かりんワールドのめくるめく新境地。ライブ半ばのかりんちゃん率いる全員曲「Danceでバコーン!」も圧巻だった。彼女は歌・ダンス・演技と一足一足、地道に精進している。『すっぴん歌姫』オーディションは挑戦してくれるのだろうか。宮本佳林がいて、大塚愛菜がいて、あとひとりぐらい地方組の逸材がいれば、わたしのなかではもう娘。11期オーデの成功は約束されたも同然なのだが……。

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