モーニング娘。10期オーデ 合格発表
佐藤優樹（小６・北海道）
- ３人目の佐藤優樹が呼ばれ、第一声を発したところで武道館の館内がとどろき、ステージと客席をまたいで一斉に笑みが吹きこぼれた。モーニング娘。歴代６人目の北海道出身です、先輩に負けないように……てなことを言おうとしたのだろうが、文意が途中でふにゃーっともつれた。その声のトーンや仕草、腰砕けの言葉が縒りあわさり、そう、むかし北海道の牧場に住み込みで働いていたころ、そこの婆さんに食べさせてもらった「牛乳ぜんざい」みたいな素朴でふくよかな甘さが脳内を侵蝕しにかかる。できない子の最悪のふてくされ、みたいな合宿時のＴＶイメージまでがふにゃーっともつれ、ああ、きみのこと誤解してごめん、とモードの切り替わった最終審査の彼女に全面降伏させられちゃったことの絶対的な「正しさ」を、生のステージであたらめて思い知らされる事態に。まいりました。さゆみんがステージ上で悶絶していた。逸材中の逸材かも。
工藤遙（小６・埼玉県）
- ４人目でようやく呼ばれた。呼ばれたときの歓声が半端なかった。男の子みたいな赤ちゃん顔に似合わぬ声の嗄れ方→イベントでのＭＣの場をさらう面白さ→子供なりの信義の厚さが根底にある、きっとそうだよねと思わせる喧嘩不敗伝説→ライヴやお芝居へのまっすぐな初心と、へなちょこな大人を蹴散らすほどのプロ意識。エッグに加入してほどない去年の春頃から、くどぅーの快進撃はすでに始まっていた。そのわくわく感をわたしは知っている。今回の10期オーディションのおかげで、そんな彼女のハロー枠での認知度が一気に跳ね上がった。みんなに愛されてるね、期待されてるね。第２の出発点に立ったんだね。そう思わせてくれる歓声だった。うれしかった。ソデで観ていて、モーニング娘。はかっこいいグループだって惚れ直しました、そこに自分も入れたんだ、みたいなことを、アンコール明けの最後の挨拶で語っていた。新たな、そして本格的な快進撃がここに始まる。一度仕上がった状態で９ヶ月間、無念の延期となってしまった暮れの大人の麦茶公演『１９７４（イクナヨ）』は、工藤遙（モーニング娘。）として役を全うしてほしい。延期をプラスに転じるように躍動してくれるよね。
飯窪春菜（高２・東京都）／石田亜佑美（中３・宮城県）
- わたしの気まぐれ予想は、合格ラインが愛ちゃん・ガキさん・まこっちゃん・こんこんの５期以来（特別枠を除外すれば、ですね）の４人というのは当たったが、２勝２敗。でも、佐藤・工藤という超希少な素材が２人とも入ってくれて、気分は清々しい。つんくＰのブログ（２回にわたる更新という異例の力の入れよう）によると、当初は２人の予定だったみたい。書きぶりからはテッパンなのが飯窪・石田のお姉さんズのほうで、審査を重ねて心変わりしたのが佐藤・工藤だったように読める。逆に言えば、方針の変更を迫るほどの何かを佐藤・工藤が最終的に見せたってことだろう。なんか飯窪春菜は10期だけじゃなく、９期を含めた年少組のまとめ役になってくれそう。歓迎します。石田亜佑美は、最後ステージから上手ソデにはけるとき、鞘師里保の後を追うように客席に迫りだした行き止まりのほうに行っちゃって、先輩に呼びとめられていた。鞘師が間違えたのだが、思わず知らずその後を石田が追うってのがいかにも暗示的で、ニヤリとなった。ダンスのソロ・パートが間奏に入った曲を書いてください、ってつんくＰに早くもアピールしていた。里保ちゃんにもいい刺激になってくれれば。
無念の落選組
- 笑いをとりながらつんくＰにたてつける道重さゆみのしゃべり芸も、いまや相当なもんですね。石田をダーイシと名づけた愛称のセンスを暗にぶった斬るように、シゲさんと呼んだつんくＰに抵抗していた。ブログの書き込みと合わせると、さゆみんは２人合格を予想していて、２人とも外れたみたい。６期トークで、れいながやめたらモーニング娘。に歌える人いなくなるよー、みたいなことを冗談っぽく言ってたから、深読みすれば村上咲楽さんあたりを推していたのかも。*1 村上さん、同じ宮城県出身の仙石みなみちゃんみたいにエッグから始めるのはダメですか。宮本佳林ちゃんの隣りにあえて置いてみれば、新生エッグのパステルっぽい色合いに深みを帯びたアース・カラーが混ざってどんな変容を遂げるだろうか。異質すぎて想像がつかないけど、そうなったら横浜BLITZへ万難を排して行こう。田中風華さんは地元仙台でダンスユニットの活動に戻るらしい。また娘。オーディションに挑戦してくれないかな。踊る姿も歌う姿も、歩く姿や立ち止まる姿にも独特の軋みがあって、個人的にはおおいに記憶をくすぐられた。
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