身すぎ世すぎ。

映画、演劇、HELLOが3本柱の雑感×考察

娘。コンサートツアー2010秋 JCB夜

「ライバル サバイバル」ツアーのホールコン最終回、オーラスの横浜アリーナには這っても逆立ちしても直立歩行でも行けないので、これが卒業する亀井絵里ちゃんとジュンジュン・リンリンの娘。としての見納めともなる。娘。コンは去年の春以来か。あのとき、…

ハロプロ新人公演11月 横浜JUMP! 28夜

おそらく「新人公演」と銘打たれるエッグたちのラスト・ライブとなるのだろう。あるいは「ハロプロ・エッグ」という概念も消滅するのか。いくら追いつめられてもこれに行かないわけにはいかず、仕事の資料一式を鞄に詰めこんで、徹夜覚悟の横浜行脚となった…

大相撲 63連勝の剣が峰 白鵬×稀勢の里

11月15日、九州場所2日目の大相撲は、がらがらの館内をあざわらうようにめっぽう面白かった。といっても、仕事からいっとき解放されてNHKの7時と9時のニュースで横着に観ただけなのだが、ニュースウォッチ9は(あとちらっと観た報道ステーションも)…

今がいつかになる前に 寄り道的感想

10月最後の週のはじめ、不規則生活と突然の寒気がたたって体が悲鳴を上げ、夜中から明け方まで七転八倒して行きつけの医院に駆けこむ。こんなこと繰り返してたら即入院だな、と老医に静かな口調で恫喝される。目前の仕事の山場を青息吐息で乗り切って、金曜…

乱暴と待機  小池栄子、美波 感想

原作は演劇と文学を往還する本谷有希子で、みずから舞台にも小説にもした。わたしは2ヵ月ほど前に映画を観たのみ。それがまだ尾を引いている。日本映画は秋からお正月にかけて、なんの因果かにわか時代劇ブームで、力作と凡作の幅はあれど、総じて悲愴美に…

表に出ろいっ! 作・演出/野田秀樹 感想

一幕一場、ある宵の口の家庭内戦争。大地と垂直に交わるような『春の祭典』が忘れがたい亡き演出家&ダンサーの名を冠した、愛犬ピナ・バウシュが今夜にもお産を迎える。中村勘三郎扮する父に野田秀樹扮する母、その年頃の娘、3人とも今夜は大事な予定を入…

君に届け  多部未華子 感想

多部未華子の映画なら、弟をからかいながらの学校からの帰り道、通りの辻でふと見慣れた風景が変わって家に着くともぬけの殻、両親からはぐれちゃうというパラレルワールド的設定を、自立の辻に突然立たされる女の子の青春ジュブナイルに取りこんだ佳品『ル…

悪人  深津絵里 感想

この秋の公開作で、ここから見知らぬどこかへと針を振り切る手応えのあった日本映画は、新人女優・寉岡萌希のみなし児の輝きに目を奪われる瀬々敬久監督4時間38分のサーガ『ヘブンズ ストーリー』、本谷有希子の演劇と富永昌敬の映画が変種のセックス・ウォ…

ぼくのエリ 200歳の少女  感想

これを観てもう1ヵ月以上経ちますが、まだ印象は鮮烈なままです。今日が公開初日(銀座テアトルシネマほか)となります。原題は『LET THE RIGHT ONE IN』。監督いわくモリッシーの「LET THE RIGHT ONE SLIP IN」からとったそうですが、日本語にすると「正し…

借りぐらしのアリエッティ 感想

ジブリ作品に詳しいわけじゃないけれど、宮崎駿さんや高畑勲さんが自分たちより若い世代に監督をゆだねた映画の系譜がありますよね。『海がきこえる』とか『耳をすませば』とか『猫の恩返し』とか『ゲド戦記』とか。そこに『借りぐらしのアリエッティ』を連…

さんかく (小野恵令奈、田畑智子) 感想

真新しい胸の刻印をこのブログになんとか留めておきたいなって思いつつ不規則生活の身の上に足をすくわれ、結局、書けないまま時が過ぎていった作品がいくつもある。この春3月に池袋の東京芸術劇場小ホールで観た多部未華子主演の『農業少女』(作:野田秀…

怪談新耳袋 怪奇「ツキモノ」「ノゾミ」 感想

どきどきした。第一話『ツキモノ』と第二話『ノゾミ』がみごとな対照を成している。動のなかで身動きがとれなくなる一話、静のなかで脈打つものがある二話。世界が干からびてゆく一話、よどみのなかで沈んでは浮かぶ二話。青みの凍みる一話、赤みの沁みる二…

星砂の島のちいさな天使  感想

表バージョン ある朝、竹富島の砂浜に打ち上げられた謎のヒロイン美海(飯田里穂)はファンタジー界の血を継いでいる。とするなら、ヒロインと人魚伝説のつながりを直観的に見ぬき、あの女に近づくのは悲劇の元だよって幼なじみの瞬一に伝えようとする島の中…

タイガーブリージング 感想 完結篇

唇 上手は三姉妹が暮らす暖かい芥子色のカウンターキッチン&リビング。下手は賊らしき連中と女子高生がうごめく灰青色のメゾネット。奥の階段で中二階に通じていて、この目隠しされた小空間がいっそう怪しげです。映画なら覗く側(上手)と覗かれる側(下手…

タイガーブリージング 5/8 昼一回目(新宿)

光 一見、脳天気なほど屈託のない人間が追いつめられ、一寸先は奈落という危機に陥り、心がポキンと折れるかにみえて、五里霧中のなかまばゆい曙光と化して立ちはだかる。石川梨華はわたしが知るかぎり、そういう役を演じてきました。憎くてたまらない敵が恋…

金色のコルダ 3/24 夜 千穐楽(天王洲)

「選ばれたひと」であるはずの香穂子が、心のまま練習なしにヴァイオリンが弾けるという特殊能力を「魔法」によって与えられただけの「にせもの」だと自覚し、私は「にせもの」という意識に苦しみはじめる。それを全身でわななくように演じきった第二幕の森…

2009新人公演 11/23 夜(横浜BLITZ)

仕事を抜けるに抜けられず、『恋するハローキティ』にはついに行けませんでした。楽日を土日まで引っ張ってくれていれば。悔しい。プロデューサーの丹羽多聞アンドリウさんが自身のブログに今回の舞台演出はTBSの若手エース武藤淳で、彼のデビュー作はBS-TBS…

晩秋は『スペル』の呪縛にかかりたい。

『スパイダーマン』シリーズですっかりハリウッドのメジャー監督になったサム・ライミ。それはそれでめでたいことだけど、新作『スペル』(11/6公開)は彼の原点である『死霊のはらわた』に本卦還りした、どこかインディーズの匂いが残る痛快作です。音や風…

端っこの桃。

更新してもいないのに土曜の夜からやけに来訪者が多いなぁと思っていたら、『サンクユーベリーベリー』のごく個人的な感想が作・演出の塩田泰造さんによって大人の麦茶《ムギムギデイズ》のブログに、庭の柿の話題をマクラにした温かい文章に挟んでリンクさ…

2009秋季エッグ研修発表会 女優宣言 10/7

エッグ女優宣言の[仙石・吉川・佐保・関根・新井]の回(20:00)に行ってきました。その感想をメモ風に。30分でなにをやるのか、ハンパなもんになんなきゃいいが、と気がかり半分だったけど、楽しかったなぁ。なるほど、研修発表会というにふさわしい、余計…

サンクユーベリーベリー 9/21夜(池袋)

「はるなつーっ♪のツーッ♪が好きだからって、ツーッ♪で止めちゃったら歌じゃなくなる」と嗣永桃子演じる眞佳ちゃんが言うように、葉脈が波打ちながら青・青緑・緑・深緑の諧調をなすシンメのセットに繰り広げられる、この音楽劇の感想を言葉でつなぎ止めよう…

松本人志の『しんぼる』 感想(再考)

笑いの神様の仕業? 内部と外部を結ぶ回路のねじれ方。 『しんぼる』を観てから10日ほど経ちます。今日が初日ですね。あれから観た映画では、なんの曲だっかか、そう、いきなりタイトル・バックにディミトリ・ティオムキンの「遙かなるアラモ」が大音量で流…

松本人志の『しんぼる』−超越者への扉

来週9月12日に公開されるダウンタウンのまっちゃんこと、松本人志監督の新作映画『しんぼる』は、お笑いのネタではなく寿司ネタが効いています。正しくはマグロの握りなんですが、口のなかに頰ばると、なんというか笑いの鬱血したギャグが出口を求め、時を…

熊井友理奈のBBBスポットCM讃

女ヴァンパイア、キャットウーマン、狼少女――肉をかじって口元から血を滴らせた女は数知れないが、果肉をかじって口元から血を吹きだした女〔の子〕は熊井友理奈がはじめてだろう。檸檬(レモン)が本来もっている爽快と不快のアンバランスは、熊井ちゃんが…

こんな夢を見た。

『しゅごキャラ! ミュージカル』の感想を書くという無償の宿題をなんとかやり終えると、締切の迫った手持ちの仕事が半端ないことに気づく。でも、あのミュージカルって子供向けのくせに、前田憂佳のあむちゃんが敵ながら謎めいたワルっぽさにちょっと惹かれ…

しゅごキャラ! ミュージカル 7/20(銀座)

「なんか抜け殻状態……憂佳です」ではじまる、あむ役・前田憂佳の楽日明けのブログには胸を打たれた。あんなに長かった稽古も思いかえすとぎゅっと濃縮されて感じる。「ぶっちゃけ、憂佳 稽古行くの、嫌でした。自分が主役なんて 絶対無理だって 自信が全然な…

オペラ・ド・マランドロ 考察〈急〉

MAX「発展なんかいらねぇ」 LU「もう時が来たのよ!」 『オペラ・ド・マランドロ』は『三文オペラ』より人物関係もかなりすっきりと整理されている。その最大の異動は、『三文オペラ』ではほとんど絡むことのなかったルー(=ポリー)とマルゴ(=ジェニー)…

オペラ・ド・マランドロ 考察〈破〉

『オペラ・ド・マランドロ』は言うまでもなくブレヒトの『三文オペラ』の猥雑な世界を南米ブラジルに移植すべく翻案したミュージカルだが、産業革命末期ロンドンの魔界に1920年代ベルリン爛熟都市の匂いを重ねた『三文オペラ』もまたイギリスの『ベガーズ・…

オペラ・ド・マランドロ 8/1昼(池袋)雑感

あるいは、ルーをとっかかりにした一考察〈序〉 純情可憐な令嬢が銃をかまえるとき、それは命に賭けてあんたのいいなりにはならないわ、という発火点だ。相手がちんけな悪党なら、力関係が一瞬で逆転するだろう。相手が愛する男なら、やがて男にとって危険な…

東京少女2008 全40話 BEST7 その三

二 岡本杏理 #4#5『旅の途中』(前後編) 監督:田沢幸治 脚本:渡辺千穂 ☆40話中、伸びやかで可憐な、青春彷徨篇の極めつけ。中2の杏理はしっかり者だ。2歳のころから父親と二人暮らし。日々の家事もできぱきこなす。ある日の下校時、いつものようにハン…